入浴介護

自宅の入浴で転倒が心配な方へ 福祉用具と住宅改修の活用で安全な入浴を続けよう!

高齢になると大変になってくる日常生活動作の一つ、それが「入浴」です。

介護保険によるデイサービスなどで利用できる入浴サービスは、浴室での転倒リスクがある方にとっては大きなメリットです。

しかし実際には、介護度やそのほかのサービス利用状況によって、週に何回も入浴サービスを利用することが難しくなります。

それでも入浴を継続したい場合には、介護保険による福祉用具や住宅改修の活用を検討しましょう。

本記事では、入浴時に潜む転倒リスクや、利用を検討したい福祉用具や住宅改修サービスのポイントを紹介していきます。

入浴の際に転倒の危険性が考えられる場所4選

①脱衣所

浴室に入る前に転倒が考えられるのが、衣服の着脱を行う脱衣所です。

高齢になると片脚立ちのバランスが悪くなり、ズボンの着替えの際に転倒してしまうことがあります。

着替えの際には、しっかりと座れる椅子を一脚用意しておくと安心です。

②浴室の出入り口

浴室ドアの開閉時も転倒が考えられます。

浴室の扉が開き戸の場合には、開閉時に重心の前後移動を伴うため、ドアを後方に開く際は特に注意が必要です。

また、浴室と洗面所に段差がある場合も、足が引っ掛かって転んでしまうことがあるためこちらも注意が必要です。

③浴室

お湯で濡れた床面は滑りやすく、高齢になると下肢の筋力低下や関節可動域の減少によって転倒リスクが増大します。

最近のユニットバスは水はけが良く滑りにくい材質が利用されていますが、タイルの床は特に滑りやすくなっています。

④浴槽

浴槽の中は溺れることによる事故が多いイメージですが、実際は転倒による事故も起こりえます。

浴槽を跨ぐ際や浴槽内からの立ち上がりの時にも十分な注意が必要です。

お風呂の転倒予防対策例

①手すりの取り付け

介護保険の住宅改修サービスを利用すれば、工事で手すりを設置する際に補助金をもらうことができます。

利用者の所得に応じて補助金の割合は異なりますが、最大で14~18万円分がお得になります。

住宅改修サービスについて詳細は、以下の記事をご覧ください。

入浴を目的に手すりを設置する場合は、浴室出入口の戸枠や浴室内の壁、浴槽脇の壁が挙げられます。

ホームセンターにも一般客向けの浴室手すりが売られていますが、施工には正確な技術が必要とされます。

安全な手すりを設置するためにも、ケアマネージャーさんを介して住宅改修業者に施工して頂きましょう。

浴室入り口から浴槽までの動線上に連続した手すりを設置すると、より安全な入浴が可能です。

②開き戸から折れ戸(引き戸)への変更

開き戸を交換する場合も、介護保険の住宅改修サービスが利用できます。

既存の開き戸を撤去して折れ戸へ交換する工事は、半日ほどで着工完了します。

折れ戸を樹脂製のものにすれば、転倒時はガラスのように割れることがないので安心です。

③入浴補助用具の購入

一部の介護用品(特定福祉用具)は、介護保険により購入費の1~3割負担で購入することができます。

購入品は衛生面の観点から排泄や入浴に関わる用具が主な対象です。

安全な入浴を行ううえで利用しやすいものとして、以下の用具が挙げられます。

・シャワーチェア(介護保険適用)

既存の入浴用の椅子では立ち上がりが大変になってきた場合には、シャワーチェアの使用が有効です。

種類によっては背もたれ付きの物やひじ掛け付きのものあるため、身体状況に応じて使用を検討します。

安価なものは一万円以内で購入できますが、使用する人の身体状況に応じて機能も値段も様々です。

パナソニックエイジフリー様で提供されているユクリアシリーズは、防カビ機能や掃除もしやすく介助者にもおすすめです。

早急に必要な場合はネット購入やホームセンターも検討すべきですが、数万円する商品は介護保険を利用してお得に購入したいところです。


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・バスボード(介護保険適用)

骨折や脳卒中後遺症により片脚立ちが出来なくなると、浴槽を跨ぐ動作が大変になります。

バスボードは浴槽に橋渡しの板を取り付けることで、座面に座ってから安全に浴槽を跨ぐことができます。

浴槽の淵の形状やサイズによって適応しない場合もあるので、購入する際には福祉用具専門相談員に相談し利用の可否を検討しましょう。

・入浴グリップ(介護保険適用)

バスボードと同様に、浴槽淵に取り付けることのできる着脱可能な手すりとなります。

こちらも浴槽淵の形状により取り付けの可否があるため、福祉用具業者に一度確認したうえで利用を検討しましょう。

・バスマット(介護保険適用外のため自費購入)

介護保険による補助はありませんが、浴室や浴槽内に敷くことで転倒を予防することができるマットです。

水気による床の滑りやすさを軽減するだけでなく、浴室床の冷たさを軽減する効果もあります。


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バスマットは床面の材質によって適応があるため購入の際には注意が必要です。

また、浴室出入口が段差のない開き戸の場合、扉とバスマットが干渉して扉の開閉が困難となります。

浴室出入り口に設置したい場合は開閉ができるか確認して購入を検討するとよいでしょう。

めめんと

大学卒業後、理学療法士として回復期病院(整形・脳卒中)と老健施設(入所・認知症ユニット)で5年間の臨床活動を実施。その人の「できること」を活かした環境支援を学ぶため、現在は企業で福祉用具や住宅改修サービスの提案を行っています。

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