要支援~要介護の認定を受けている被保険者の方が、住み慣れた家で安全に自立した生活を営むことをサポートする住宅改修サービス。
所得によって自己負担割合は1~3割となりますが、原則として20万円までの工事費に対して補助を受けることができます。
この記事では住宅改修の流れやメリット・デメリットについて解説していきます。
目次
もらえる補助額の最大は18万円!支払い方法は2種類。
介護保険の住宅改修サービスでは、工事費用の20万円までを対象に支給を受けることができます。
本人の所得に応じて自己負担割合は1~3割と変わるため、例えば1割負担の人が総額20万円の工事を実施すると
実際の支払額は工事額(20万円)-支給額(20万円×9割=18万円)=2万円のみとなります。
支払い方法には2種類あり、委任払いと償還払いがあります。
確認したところ、市町村によっては委任払いを導入していないところもあるため、支払い方法については
工事の前にケアマネージャーさんや工事施工業者へ確認しておきましょう。
工事を実施する場合は、相談員さんや担当のケアマネージャーさんに相談します。その後、住宅改修施工業者が同行し、住宅の調査を行います。これを現地調査と呼んでいますが、できるだけ利用者様本人がその場で一緒に動作を確認するのがポイントです。本人様が退院(所)前の場合は、退院(所)前動作評価といって、病院や施設のリハビリ職(理学療法士・作業療法士)が同行し、住宅改修が必要な場所を確認します。昨今はコロナウイルスの関係で外出が制限されている場合もあるため、動作を確認できない場合もありますが、やはり実際に動作を見ることは、後の自宅生活において非常に重要です。すでに在宅生活されている場合は、ケアマネージャーさんと施工業者がお宅へ訪問し、住宅の構造を評価しながら、改修方法を提案していきます。内容にもよりますが、数日~1・2週間で工事のお見積りが作成されます。内容を検討し、問題がなければ市町村へ提出する申請書類を記入し、役場に提出します。提出後、申請に対する許可が降りるまで1~2週間を要します。しかし、ここは市町村によって異なる場合があるため注意が必要です。申請内容に対して厳格な判断を下す役場もあれば、理由を説明することで柔軟に対応してくれるところもあるため、業者泣かせのお役所もあるのが現状です。それでも市町村によっておおむね許可の期間は一定なので、それにあわせて施工日の日程調整や材料の準備を行います。許可が降りれば工事着工です。工事完了後は、再度工事後申請用の資料をそろえて役場に提出すれば申請は完了です。
住宅改修サービスで補助対象となる工事は6項目。
①手すりの取付け
②段差の解消
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
④引き戸等への扉の取替え
⑤洋式便器等への便器の取替え
⑥その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
住宅改修のメリットは、レンタルや購入品では代替できない動作の安全性や自立度を獲得できること!
住宅改修のメリットを、ここでは手すり工事を例に挙げていきます。
自宅内で利用できる手すりのレンタル品には、鉄板と一体となった置き型手すりがあります。
置き型手すりは重量があるため安定していますが、鉄板には多少の厚みがあります。
そのため、足先が十分に持ち上がらなかった際にはつま先が引っ掛かりやすく、逆に転倒する原因となってしまうこともあるのです。
円背(背中が曲がってしまう状態)の方で普段から両手を膝について歩いている方、脳卒中後遺症で片麻痺により足先が持ち上がらない方は、
住宅改修で壁に直接手すりを設置することでつまずきを予防し、より安全に屋内外の移動を行うことができます。
住宅改修のデメリットは、工事後に身体機能の低下があると、改修箇所が動線を阻害したり動作を補助できなくなってしまうこと!
住宅改修のデメリットも、手すり工事の例で紹介します。
特に多いのは、改修工事後に病気の再発や転倒による骨折等で身体機能が低下する場合です。
また、利用者様が進行性疾患などの持病をお持ちの場合も要注意です。
進行スピードを考慮せずに工事を行うと、後々になって手すりが使いにくなったり、将来の車椅子生活を阻害してしまう可能性があるのです。
ここでは私自身の経験も記載します。頸椎疾患で徐々に首や肩の痛みが強くなり、手指の握力が低下している利用者様がいました。
施工時は握りやすいグラブバー(ディンプルタイプ:手指の形状に合わせたもの)を採用し、一般的な長さを取り付けました。
しかし、1か月に再訪問すると、手指の痺れの増加、握力の低下、肩関節の屈曲可動域制限がみられ、手すりは使えなくなっていました。