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高齢者の暮らし応援 布団乾燥サービスと介護ベッドレンタルの実態

「2025年」問題に直面した日本では、一人暮らしの高齢者も増えており、日常生活を維持するのも一苦労となっています。

そんななか身体機能の低下に伴い問題となってくるものとして、「寝具の衛生管理」や「起床動作の継続」が挙げられます。

ここでは、寝たきりになった際に利用できるサービスや、寝たきりにならないための介護保険サービスを紹介します。

布団乾燥サービス~市町村別の例~

高齢になると大変になる家事のひとつ、布団干し。

一度病気やケガをすると布団で過ごすことが多く、なかなか干すタイミングがない方も多いと思います。

そんななか、各市町村では委託業者が行う「布団乾燥サービス」を実施しています。

以下は、関東圏の市町村ホームぺージに記載されている布団乾燥サービスを抜粋したものです。

無料で実施できる市もあれば、費用のかかる地域もあります。うまく活用したい制度です。

市町村対象者内容料金
東京都中央区
※1
要介護2以上の寝たきりの方で、ふとんを干すことが困難な状況にある居宅者ふとん乾燥:年10回
(5月・12月以外の月)
丸洗い:年1回(12月)
水洗い:年1回(5月)
ふとん乾燥
課税世帯:370円
非課税世帯:110円
丸洗い
課税世帯:530円
非課税世帯:160円
水洗い
課税世帯:920円
非課税世帯:270円
生活保護対象者は上記すべて無料
埼玉県さいたま市
※2
市内に居住する65歳以上の方で、次の要件のいずれにも該当する方
(1)寝具類の乾燥などを行うことが困難なひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯の方であること。
(2)さいたま市の介護保険の被保険者であること。
(3)寝たきり状態にあって、かつ、介護保険制度で要介護度が3、4、5のいずれかであること。
(4)介護保険料を滞納していないこと。
(5)介護保険施設等又は病院等に入所・入院していないこと。
寝具の洗濯乾燥消毒又は乾燥消毒のうち、いずれかを月1回まで。(※洗濯乾燥消毒は、年2回)
洗濯乾燥消毒……寝具の丸洗いを行います。
乾燥消毒…寝具の乾燥を行います。
無料
千葉県千葉市
※3
在宅で、おおむね6か月以上ねたきりの状態にある18歳以上65歳未満の方で、
身体障害者手帳1・2級を所持する方で、寝具を衛生的な状態に保つことができない方
障害福祉サービスの支給決定を受けている難病患者の方で、寝具を衛生的な状態に保つことができない方
・月1回、市が委託した業者の寝具乾燥車が訪問します。(訪問日は業者から連絡)
・掛け布団、敷き布団、毛布などが対象です。
・年間12回の乾燥消毒ですが、うち1回を丸洗いとすることができます。
・寝具乾燥車が1時間ほど駐車できる場所が必要になります。
・利用者宅の電源(コンセント)を利用します。
無料

各市町村の令和6年度時点でのサービス情報です。最新の情報は各市町村のホームページをご参照ください(リンクあり)。

このように、対象者は介護度や障害者手帳の等級などによって市町村でばらつきがみられます。

サービスを利用したい方は、お住いの市町村に問い合わせて、利用の可否を確認しましょう。


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布団から起き上がりが困難になったら要検討。介護保険制度で介護ベッドを活用する方法。

上述した寝具の乾燥や洗濯サービスはあくまで寝たきりの方をメインとしたサービスです。

しかし、人生100年時代といわれる現在では、介護を必要としない健康な状態、いわゆる「健康寿命」を延ばすことが課題です。

高齢になり身体機能が衰え、布団から起きられない状態が続けば、廃用性の筋力低下や全身持久力の低下など悪循環に陥ります。

そうならないためにも、一人で楽に起床することができる環境づくりが大切です。

現在日本では、介護保険制度により要介護度2以上の方の場合に限り、費用の1~3割負担でベッドのレンタルを実施しています。

介護ベッドは2モーター以上のものを利用することで、頭部の持ち上がりを補助したり、ベッド座面を高くして立ち上がりを補助します。

布団からベッドに環境を変えるだけでも、高齢者の起床動作を一人で完結させることも可能です。

サービスを利用するためにも、まずは市町村の窓口で要介護認定の申請手続きを行いましょう。

要介護1でもベッドを安く利用できる。ケアマネージャーさんに相談してみましょう。

要介護認定で介護度が要支援1・2または要介護1の場合、原則として介護保険でのベッドレンタルはできません。

しかし、市町村が医師の所見やケアマネジメントの判断等を書面などで確認し、その必要性を認めれば、例外的に給付が可能です。

これはベッドだけでなく車椅子なども該当します。

日常生活はおおむね自立していいる人は介護度が低く判断されますが、それでも歩行ができない方も存在します。

こういった場合も、日常的に歩行が困難だと認められれば、要介護2以上ではなくてもレンタルを利用することができます。

ベッドを利用したい場合はケアマネージャーさんに相談し、レンタルが利用できるよう話し合ってみましょう。

例外給付がダメでもベッドを安くレンタルしたい。自費ベッドの活用を検討しましょう。

例外給付も降りなかった場合、介護ベッドは買うしかないのか?

その必要はありません。介護ベッドは数十万円もするため、在宅生活が長くなれば介護度が重くなることは十分にあり得ます。

そんなときは「自費ベッド」の活用を検討してください。

自費ベッドは介護保険制度によるものではなく、福祉用具事業者が独自で行っているいわば救済措置のようなものです。

事業所によって利用できるベッドの種類は限られますが、介護保険制度に近い金額でベッドを借りることができます。

2モーターベッドレンタルの例(某事業所)1か月レンタル料(1割負担の場合)
介護保険(ベッド本体・マット・柵を含む) ※1割負担850円
自費サービス適用(同上)1,500円
通常レンタル(同上)8,500円 ※通常レンタルのため10割負担

上記の通り、自費サービスを実施している事業所でレンタルすることで、費用を安く抑えることができます。

こちらもケアマネージャーさんが事業所を把握しているので、問い合わせてみましょう。

引用元

※1 東京都中央区HP https://www.city.chuo.lg.jp/a0028/kenkouiryou/koureikaigo/zaitakuiryou/zaitakushienservice/koreisyasetai/hutonarai.html

※2 埼玉県さいたま市HP https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/003/002/005/p073435.html

※3 千葉県千葉市HP https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/jiritsu/shingukansou.html

めめんと

大学卒業後、理学療法士として回復期病院(整形・脳卒中)と老健施設(入所・認知症ユニット)で5年間の臨床活動を実施。その人の「できること」を活かした環境支援を学ぶため、現在は企業で福祉用具や住宅改修サービスの提案を行っています。

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