街中でご高齢の方が使っている手押し車。歩くのが大変になってきたときや、歩行中の転倒を機に、その使用を検討します。
高齢になられたご家族様の歩行が心配になったときなど、購入を考える時が来るはずです。
ホームセンターや通販でも購入することができるものですが、
一部の用具は介護保険を利用することで、要支援~要介護の方を対象に所得に応じて費用の1割から3割の負担で借りることができます。
様々な種類があるため、身体機能や使用用途によって選定の難しさはありますが、ポイントを抑えることで利用者の身体・精神的負担を軽減し、安全な歩行をサポートします。
ここでは、歩行器の種類や選び方、実際に使用して感じる困りごとなどをお話させていただきます。
歩行器の種類
・歩行器(レンタル・購入の選択制)
病院で見かけることが多く、車輪がついていないタイプ。固定式と交互式があり、骨折や麻痺などによって患側下肢へ十分に荷重ができない方や歩行が不安な方に対して、リハビリ目的で使用することが多いものです。もちろん自宅内でも使えます。今まではレンタルの対象でしたが、令和6年4月以降は、レンタルと購入の両者から選べるようになりました。購入にあたっては、専門職の方からの意見をもとに、その必要性を十分に検討して頂く必要はありますが、現在は販売価格の1~3割で購入できるようになりました。
・歩行車(レンタル)
病院で見かけるような全体重を預けるようなタイプのものから、街中で見かけるものまでさまざまです。歩行車とシルバーカーは似ていますが、歩行車は歩行が自立していない人を対象として使用するものとなります。形状でみると違いがわかります。
歩行車はグリップ(握り手)を持った際に、歩行器が作り出す支持基底面内に身体重心が収まりやすくなっているため、バランスを取りやすくなっています。上から見るとコの字型をしているのがわかります。
・シルバーカー(※介護保険の適用なし。購入は自費。)
こちらが街中でよく見かけるものになります。あくまで歩行が自立している人が対象のもので、長く歩くと疲れやすく痛みが出たりするときには、歩行の補助を目的に使用します。歩行器と異なる点は、グリップの持ち方です。シルバーカーはグリップが横に伸びているタイプとなっており、本体は身体よりも前方に位置します。そのため、足腰が弱った自立歩行の難しい人が使用すると、押していくうちにシルバーカー本体が身体と離れてしまい、逆に転倒のリスクが増えてしまいます。要介護の認定を受ける程度の身体能力の方では、そのようなリスクが考えられます。
歩行器とシルバーカー、どっちを選ぶ?
以上のことから、利用する人の身体状況によって選択する用具は概ね決まってきます。
・歩行中にふらつくことはなくても、しばらく歩いていると足腰が疲れる
・歩いていると足腰が痛み出す
そんな場合はシルバーカーを使用して歩行時の疲労を軽減することを検討しましょう。
しかし、シルバーカーは介護保険の適用外のため、購入金額に対しての補助はありませんので自費負担となります。
・歩行中にふらつくことが多く、足がもつれることがある
・何かに掴まらないと足が上がらない、普段から杖を使って歩いている
このようにすでに歩行に何かしらの影響が出ており、転倒のリスクが考えられる場合には、歩行器の使用を検討します。
歩行器や歩行車は、要支援から要介護の認定を受けている方ならレンタル品として介護保険が適用されます。
ケアマネージャーさんを介して福祉用具事業者と相談することで、歩行器の使用を試してみましょう。
レンタル品は1週間ほどのデモ期間があるので、お試して身体に合わなければ返却できるので費用は掛かりません。
要介護度の認定を受けていない場合には、役場やお近くの居宅介護支援事業所に相談し、認定を受けることでサービスを利用することができます。
シルバーカー購入のポイント
歩行器を借りる場合は、業者の福祉用具専門相談員さんが一緒に歩行器を選定します。利用場面を想定して、本人様にあった歩行器を探しましょう。
介護度の認定は受けていないけど、シルバーカーの購入は検討したい・・・
ここでは、購入後に後悔しないポイントを挙げていきます。
- 動線上の路面状況に応じて、車輪の大きさや数を考慮する
整備された道路を歩く場合には問題ありませんが、外出先でちょっとした段差があったり、庭先が砂利道や芝生で不整地になっている場合は、購入予定のシルバーカーの車輪がどうなっているか確認しましょう。車輪が大きいものの方が、砂利道やちょっとした段差でも影響を受けにくいため、不整地の歩行には適しています。前輪が二つ付いているタイプは支えがしっかりしているため歩行が安定します。また小回りが利きやすいのも特徴です。しかし、砂利道などではそれぞれの車輪に対して複数方向の抵抗がかかるので、シルバーカーの向きを直すのに一苦労することもあります。
- 利用目的に合わせてタイプを選択
近場への散歩などで中心で、荷物を多く運んだりすることがない場合や、電車やバスなどの利用にはコンパクトタイプがおすすめです。
買い物でちょっとしたものをしまったりする場合には、ミドルタイプがおすすめです。
買い物でたくさんの荷物を運搬したい場合には、ボックスタイプがおすすめです。しかし、サイズと重量があるので公共交通機関の利用や段差のあるところでは持ち上げるのに一苦労な面もあります。
自宅の庭先や畑など、園芸目的での利用には、ワイヤー上のかごがついたワゴンタイプがおすすめです。
- 高さ調節のしやすさを確認
持ち手の高さが合わなければ、逆に疲労を増やしてしまったり、不良姿勢で歩くことを強制してしまうことがあります。
高さ調節機能はそれぞれのメーカーで様々なものがみられていますが、以下のようなものが挙げられます。
・無段階調整
・段階調整(ねじ止めタイプ、ワンタッチタイプ)
握力が弱いと、ねじ止めタイプの場合おひとりで調整できない場合もあります。ご家族様がいれば問題ありませんが、おひとりで利用される場合には、扱いやすいものを選びましょう。
歩行器・シルバーカーを使用して感じる困りごと
疲労を軽減し、歩行を安全にサポートしてくれる歩行器やシルバーカー。
実際に使って頂くと、こんな声を聞きます。
・雨の日に外出するとき、両手がふさがっていて傘をさすのが大変。
・暑い日は日傘をさしたい。
残念ながら、レンタル品にあたる歩行器では、傘をたてることができる付属品は私が調べた限り見つけられませんでした。
しかし、日用雑貨で調べてみると・・・赤ちゃんが使うベビーカーや自転車に使用できる傘ホルダーが見つかりました。
使用する歩行器やシルバーカーによって取り付けられるものは限られますが、いくつかのメーカーでは、シルバーカーでの使用をオススメする商品もあるようです。
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