高齢になり、身体の痛みが出たり歩くのが大変になると、杖や手すりなどの介護用品の購入を検討するかと思います。
一部の介護用品は保険を利用することで、所得に応じて1~3割の自己負担で商品を購入することが可能です。
この記事では、以下についてお伝えしていきます。
- 令和6年4月から新たに追加された介護保険適用の購入品(特定福祉用具)
- 購入するよりレンタルがお得な介護用品(福祉用具)
- ネットやホームセンターで買ってもよい介護用品
特定福祉用具販売でお得に購入
一部の介護用品(特定福祉用具)は、お住いの市町村に申請することで、販売価格の1~3割分の料金で購入が可能です。
年間で10万円までの補助を受けることができるので、例えばちょうど10万円のポータブルトイレを購入した場合、実際のお支払いは1~3万円だけでよいわけです。とってもお得ですね!
介護保険の居宅サービスを併用している場合は、ケアプラン(介護サービス計画書)の作成が必要となるためケアマネージャーさんの介入が必要です。しかし、福祉用具だけの購入でほかにサービスを利用しなければ、直接用具販売業者とやりとりして市町村に申請できるようです。※ケアプランの必要性はグレーゾーンな面もあります、今後他のサービスも必要になることを考えると、初めての購入の際にはケアマネージャーさんに相談すると将来的に安心です。
2024年4月からは介護保険の改正により、以下の用具はレンタルか購入が選べるようになりました。
- 単点杖(松葉杖を除く)
- 多点杖
- 固定用スロープ
- 歩行器(歩行車を除く)
実際にどちらがよいのか、とある事例で検討してみました。
Aさんは、家の中で楽に移動できるよう、歩行器を借りていました。しかし家の中には敷居や段差が多く、使えるところが限られています。
そこで、Aさんは敷居にミニスロープを設置して歩行器を使えるようにしました。このとき、、、
レンタル品でミニスロープを4つ借りると
ミニスロープ:50円 × 4 = 1か月あたり200円の利用料金
1年に換算すると
200円 × 12か月 =2400円 となります。
対して、ミニスロープを4つ購入すると
ミニスロープ:4500円 × 4 = 商品代18000円 ここから1割負担の場合なら実際の支払いは1800円となります。
この時点で、すでに差が出ているのがわかります。
なんとスロープを購入してしまったほうが、1年で元が取れるという結果になりました。
もちろん、レンタル品は不具合があれば無料で交換できるという強みがあるため、一概に購入をオススメできるわけではありませんが、
金額面で考える際には、このように何年で元が取れるか考えてみると面白いものです。
レンタルがお得な介護用品
レンタルか購入を検討するうえで、もう一つ重要な要素があります。それは、「寿命」です。
しかし、ここでは呼び方を変えて「健康寿命」と表現させて頂きます。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、この寿命を迎えると何らかの形で生活に困難がみられ、時には誰かの介護が必要な状態となってきます。
一度病気やケガで入院すると、体力も落ちて退院するころには介護が必要となり、介護ベッドが必要になることも多くあります。
しかし、ベッドを購入するまえに一度考えなければならないのが、今後の身体機能の変化です。
例えば脳梗塞で入院した男性のBさんが、今年で80歳だったとします。リハビリはしたものの歩くのには杖が必要で、立ち上がるのにも手すりが必要で、布団からは一人で立ち上がることができません。現在は80歳のBさんですが、退院してベッドを利用するとして、果たして何年使用するでしょうか?
仮に90歳までは在宅で生活し、最後の数年を施設で過ごしたとすると、自宅でベッドを利用する期間は10年です。
介護保険では、例外を除き要介護2以上の被保険者の方がベッドを借りることができます。ベッドの機能にもよりますが、ベッドフレーム本体と柵、マットレス等をあわせて1000単位~1500単位ほどになります。年間で1万5千円のサブスクと考えます。10年使用すると15万円となります。
対して同じ機能の介護ベッドを購入した場合、いくらになるでしょうか?
1モーター(高さ調節機能)では10万円以下のものがありますが、2モーター(背上げ・高さ調節機能付き)の新品では20万円ほどはかかります。ベッド本体を機能の良いもので購入したとしても、身体機能の変化によってはマットレスの再購入が必要になるかもしれません。そうなると追加費用が発生する可能性も考えられます。この場合は、10年使用したとすると20万円以上の費用はかかっていることになります。
ここまで読んで頂くと、レンタルはいつでも解約できるうえに、状態に応じて種類を変更できる点が魅力かと思います。また、使用期間を考慮した際に低コストで借りられるのもメリットになります。購入品にももちろんメリットはありますが、コスト的な面でみるとレンタル品が扱いやすいかと思われます。
通販やホームセンターで買うべき介護用品
ここまで紹介したものは介護保険が適用されるものでしたが、実際にケガや病気で介護が必要になると様々なものが必要になります。
例えば、寝起きが大変になりベッドを利用するような身体状況になると、座卓や布団を使用するいわゆる「床上動作」中心の生活が困難になります。
そういった場合には、テーブルや座椅子などの洋式の生活を取り入れることで、身体への負担を軽減することができるのです。これらの用品は保険の適用がないため、業者さんから直接購入するのも一つの手ですが問屋さんを介すのでお客さんの手元に届くころには定価に近い値段になっていることもあります。そのため、保険適用ではない介護用品は業者さんを介するより直接通販やホームセンターで購入したほうが安い場合があるのです。
疾患や身体機能によって個人差はありますが、座椅子選び一つを見てもいくつかポイントが挙げられます。
- ひじ掛けがついているもの・・・立ち上がりの際に掴まることで、膝関節の伸びをサポートし安全に立ち上がる。
- 脚部が4つに独立しているもの・・・パイプ椅子のような折り畳み式は足を下すところにパイプがあるため、膝を直角に下すことしかできません。この場合、骨折や麻痺がある方は足部への重心移動が難しくなり、より大きなエネルギーを必要とします。脚部が4つのタイプは、足部を後方にひくことが出来るため、しっかりと足部に重心を移動して立ち上がることが出来ます。
- 座面の高さが適しているもの(高さ調整できる)・・・座面の高さは立ち上がり動作だけでなく、食事などの座位姿勢にも大きく影響します。座面が低いと膝の曲がりが大きくなり、立ち上がりの際に足部への重心移動が困難となります。また、座面が高いと足部での体重支持が乏しくなり、臀部への負担が大きく座位が不安定になります。背もたれに背中を預けた時、足が楽に下せているか確認しましょう。
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